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コラム

COLUMN

パワハラ防止と企業の責任について

人事労務

2022.09.08

執筆者:弁護士 池辺 健太

1  先日に発売となった拙著のご紹介

 「パワハラ防止法」とも呼ばれる「労働施策総合推進法」。この法律による、「パワハラ防止の措置を講じる義務」は、2022 年4月から、中小企業にも対象範囲が拡大されました。
 私もそれをテーマに、2022年3月、「図解入門ビジネス最新パワハラ防止法がよ〜くわかる」(秀和システム)という著書を出版させていただきました。 是非よろしくお願いします。

池辺健太弁護士の著作「図解入門ビジネス最新パワハラ防止法対策がよ~くわかる本」

2 パワハラ防止と企業の責任

 この本は、4月から中小企業にも「パワハラ防止措置を講じる義務」が拡大される、という問題意識のなか、出版社様から企画提案をいただきました。

労働施策総合推進法30条の2第1項
 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。 

 上記の規定により企業には、パワハラ防止のために一定の取組み(「当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置」)をすることが義務化されています。
 そのような義務を怠った上で、パワハラ被害が生じた場合、従業員間の問題であって企業の責任ではない、とは言えない状況になってきています。

3 防止措置の具体的イメージ

 措置の具体的なイメージについては、次のとおりです。

  1. パワハラ防止の社内方針の明確化と周知・啓発
  2. パワハラへの相談に対応できる体制の整備
  3. 発生したパワハラへの迅速、適切な対応
  4. その他の措置(関係者プライバシー保護のためのマニュアル整備等)

 また、パワハラ防止の措置については、同じく義務化されている、セクハラやマタハラ防止の措置とも無関係ではありません。各ハラスメントの防止について、相談窓口を統一するなど、一元的に対応することが適切であるとされています。

4 職場の生産性改善のために

 上記の拙著では、ハラスメントが職場の生産性に悪影響を与えるというデータや、ハラスメント対策が職場に与えるプラスの影響などの調査結果も引用しています。
 今やハラスメント対策は、それが正しいから、というだけではなく、効率が良く、コミュニケーションが回り、人気のある職場をかたち作るために必要、といった、いわば組織づくりの一環になってきています。

 法令遵守のために、そして、より良い職場環境を形成するために、改善を進めたいという方は、是非当事務所にご相談ください。

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