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コラム

COLUMN

海外進出の方法とそれぞれのメリット・デメリット

国際ビジネス

2021.06.30

1 「海外進出の方法」について

 海外進出を行うには、現地に拠点を設ける方法と、拠点は設けず、日本から何らかの取引をする方法とがあります。
 拠点を設ける方法には、現地法人設立、現地法人との資本提携(参加)、支店設立、駐在員事務所の設置などがあります。一方、拠点を設けないやり方としては、単なる輸出入貿易、販売代理店の構築、フランチャイズやライセンス契約、などの方法があります。
 拠点を設けた方が、上手く行ったときのリターンは大きいですが、リスクも大きいといえます。逆に、拠点を設けない場合は、非常に大きなリターンは期待できないかもしれませんが、何かあったときのリスクは少なく抑えることができます。

  以下、代表的な方法について、そのメリットとデメリットをご紹介いたします。

2 現地法人の設立 ~独資か合弁か~

 近年、日系企業が海外に現地法人をゼロから設立し事業を運営する方法としては、独資(日系企業の出資のみで設立される企業)又は合弁(日系企業と、海外企業ないしその他の経済組織の共同出資により設立される企業)の選択を迫られるケースが多くみられます。


 日系企業にとって、独資と合弁のメリットおよびデメリットについてみますと、独資には、以下①②③のメリットがあるといえます。

①   出資者の自由な意思決定を行うことが可能、業務に関する意思決定にあたり機動的に対応することができる。

②   海外企業等に機密や技術、ノウハウ等の流出を防ぐことができる。

③   生じた利益を独占することが可能。

  他方、独資には以下①´②´③´のデメリットがあります。

①´ 海外企業等の販売網やノウハウを活用することが難しい。

②´ 出資の負担が大きい。

③´ 業種によっては独資企業の設立が禁止されていることがある。

 これに対し、合弁のメリットおよびデメリットは、上記独資のメリットおよびデメリットのそれとは反対ということになります。
 当然ながら、ゼロから設立し事業を運営するためには、このメリットおよびデメリットを自社に当てはめた上で進出方法を検討していくこととなります。

3 フランチャイズ

 現在、海外取引として注目されている形態として、フランチャイズ契約、すなわち事業者(フランチャイザー)が他の事業者(フランチャイジー)との間に契約を結び、自己の商標その他営業の象徴となる標識および経営ノウハウを用いて、商品の販売その他の事業を行う権利を与え、一方、フランチャイジーはその見返りとして一定のロイヤリティを支払い、事業に必要な資金を投下し、フランチャイザーの指導および援助のもとに事業を行う両者の継続的な契約があります。


 この場合、日本企業がフランチャイザー、海外企業がフランチャイジーとなることにより、以下のようなメリットがあると言えます。

①  資本力が小さくても、海外企業の資金、人材、ネットワークを利用し、店舗展開が可能である。

②  ロイヤリティの徴収による収入が期待できる。

③  失敗した場合のリスクが小さい。

 他方、以下のとおりのデメリットもあるといえます。

①´ フランチャイジーが経営ノウハウ等を流出させる可能性がある。

②´ 不振フランチャイジーが発生した場合、その対応のための経費と労力が必要となる。

③´ 不振フランチャイジーのために、フランチャイザーのイメージが悪化する可能性がある。

 なお、中国やマレーシアなど、アジアの諸国の中には、フランチャイズ契約そのものについて、色々と規制を課しており、自由にフランチャイズを展開できない国もありますので、事前のリサーチが必要です。

4 M&A

 海外現地の企業をそのまま買収する方法としては、M&Aの方法があります(この点については、「M&Aにおけるスキームの選択に際しての留意点」をご覧ください。)。

5 進出方法のまとめ

ては、事前に、投下する資本額(コスト)やその見返り、時期やタイミング、海外現地にある企業とのネットワーク関係、人材の確保、関係法令の有無、税務負担等を、事業計画段階で諸事情を総合的にかつ丁寧に見極め、最も自社に適した方法を選択することが肝要です。

6 契約について

 これらのいずれの方法を選択するにしても、海外企業等との契約が必要となる場合が多くあります。
 海外企業等との契約書については、せっかく自社に有利な規定を設けてもその国の法律で無効とされてしまったり、逆に規定していなくてもその国の法律で当然一定の義務を課されるといったことがあります。さらに、一部の契約については、契約を締結するだけではなく、所管の官庁等に届出や許可を取らないと、契約そのものが成立しないという制度を取っている国もあります。
 このように、単に契約書をチェックするだけではなく、その国の法制度もあわせて確認しておかないと、あとで思わぬリスクを負うことがありますので、注意が必要です。

(2014年1月執筆)

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