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コラム

COLUMN

ベトナム法概要

国際ビジネス

2021.08.03

1.はじめに

昨今、その重要性が叫ばれている「BCP」(Business Continuity Planning 日本語にして「事業継続計画」。)とは、

ベトナムは、正式名称をベトナム社会主義共和国といい、北部のハノイに首都があり、人口は約9700万人(2020年4月)です。ベトナム外国投資庁(Foreign Investment Agency: FIA)によれば、日本は国・地域別の対内直接投資において2017年、2018年に1位となっており、日系企業からも非常に注目を浴びていることが窺われます。

 ベトナムの法体系は、英米のような判例法ではなく、日本に近い制定法を中心とする大陸法系に属していると整理できます。また、憲法が最上位の法規範として位置づけられており、次いで国会の制定する法律、内閣が定める政令、各省庁等が定める通達という日本類似の構造が採られています。また、ベトナムにおいて法令等を参照する場合、法令のコードのようなものを併記することが多く、例えば2015年制定のベトナム民法には「No. 91/2015/QH13」という表記がなされています。まず、法律に付される「QH」の表記は国会を意味しています。QHに続く番号は第何期の国会であるかを示しています。その前の「2015」は制定された年を示し、冒頭に置かれる「No.」は何番目の法令であるかを意味しています。2015年民法の例では、2015年第13期国会において91番目に制定された法令となります。政令や通達も同様で、最後の部分が制定機関、間の数字が制定年、冒頭に当該制定機関がその年において定めた何番目のものであるかを示しています。 現在のところ、主要な法令であれば和訳の資料を参照することができますが、下位規範となる政令や通達レベルになると原文や英訳文にリソースが限られている点に注意が必要です。

2.ベトナムへの進出

海外企業のベトナム進出はベトナムのWTO加盟を皮切りに始まりましたが、業種ごとに外資規制が置かれています。そのため、ベトナムへの進出案件においては進出分野への投資について外資規制が置かれていないかの調査が必要です。

外資規制が置かれていない典型的な分野としては飲食業があります。飲食業は、ベトナムWTO加盟当時では規制対象業種でしたが、2015年1月より当該規制が撤廃されています。これに対して、不動産業や広告業などは条件付投資分野として位置づけられています。自社が進出しようとする業種に外資規制が置かれているかどうかは、投資法別表4を修正する法律(No. 03/2016/QH14)の表に掲げられている243の業種に該当するかどうかで判断することができます。  進出先での法人形態については、大きく分けると有限責任会社と株式会社の2類型があります。株式会社の設立には最低でも3名以上の株主を必要とするなど、日本制度とは異なる点が少なくないため注意が必要です。多くの場合は有限責任会社として設立されており、出資者の法人に対する権限が広範となる一人有限責任会社などの形態が選択されています。また、機関設計においては、法人設立時には少なくとも1名の法定代表者が常時ベトナムに居住しておく必要がある点に注意が必要です。

3.進出後のビジネス展開

ベトナム進出後の事業展開では、現地法を知らないために不十分・不適切な契約を締結してしまう例が少なからず見受けられます。特に法令確認の必要性が高い分野は、雇用関係や知的財産関係です。これらの分野に関する法令には、契約内容として特定の事項を盛り込まなければならない定めが置かれていたり、契約を有効とするための手続が設けられていたりします。また、代理店販売などの取引においても、法令が書面による契約締結を求めているにもかかわらず口頭で取引を開始してしまったために、紛争時に契約の存在を主張することに困難が生じる場合もあります。このように、進出後においても適用法令に注意を払いながらビジネスを進めていく必要があります。

(2020年7月)

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  • 本原稿は、過去に執筆した時点での法律や判例に基づいておりますので、その後法令や判例が変更されたものがあります。記事内容の現時点での法的正確性は保証されておりませんのでご注意ください。

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