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コラム

COLUMN

電子契約・ウェブミーティング導入時の注意点

一般企業法務等

2022.02.05

執筆者:弁護士 鈴木萌

 DXという言葉が叫ばれて久しいですが、コロナ渦の影響もあり、弊事務所でも、電子契約やウェブミーティングに関するご相談を受ける機会が増えています。今回は、会社において電子契約を導入する際の注意点について、簡単にまとめたいと思います。

1 電子契約

 「電子契約」について法律上の定義はないのですが、ご相談を見ていると、電子署名、電子契約サービス、電子メール等を用いて、紙の書面なしに契約締結の合意をすることを、電子契約と呼んでいる方が多い印象です。

 電子契約について一番多くいただく質問は、「●●という契約を電子契約に切り替えても大丈夫か」というものですが、これについて、法務的な観点からは、次のような順番で考えることになります。

(1)法的に電子化が認められていない類型に当たらないか

 契約書の中には、法的に電子化が認められていないものが存在します(定期借地契約、定期建物賃貸借契約(借地借家法第22条、第38条)等)。そのような類型の契約書については、そもそも電子化ができません。

 なお、労働者派遣契約については、かつては電子化が認められていない契約の1つでしたが、2021年1月の法改正により、電子化が可能となりました。

(2)関係機関が対応していない等の理由で電子化が困難ではないか

 電子化した契約書を、いずれかの機関(法務局、入管等)や第三者に提出等して利用する予定がある場合、当該機関等が、そのような電子化をOKとしているかを確認しておく必要があります。

(3)上記(1)(2)について特に問題がない場合

 上記(1)(2)について特に問題がない場合には、電子契約に伴うリスクを受け入れて電子化を進めるのか、従来通りの方式を取るのかを、リスクコントロールの観点から判断していきます。

電子契約には類型によって様々なリスクがあるのですが、一般的には、紙の契約書に比べて、

  • 意思表示をするためのハードルが低いため、こちら側が誤った意思表示をしてしまいやすい
  • 代表者や決裁権者の印鑑を使用するといったことがないため、先方から合意の意思表示があったとしても、具体的に誰がその意思を表示したのかが不明になりやすく、必要な決裁を経ているかも不明になりやすい
  • 訴訟になった場合に証拠として認められるか等、文書としての効力や取り扱いに関する前例が少ない

といったリスクがあります。

 これらのリスクと、その契約が内容や金額等の面から見てどの程度会社にとって重要なものか、その契約を電子化する必要性がどれほど高いか、及びこちらが取りうるリスクコントロールの策(より信頼性が高い電子契約サービスや電子署名を利用する、先方の意思を重ねて確認する運用とする、社内での運用ルールを確立する等)とを総合して考えたときに、電子化することによって得られるメリットがリスクを上回っていて、かつリスクが受容可能な範囲に留まっていると判断できる場合には、電子化を進めていくことになります。

(4)【番外編】税務上の問題が発生しないか

 なお、電子契約を導入する場合、税務の観点からの確認も必要になります。

 特に、電子帳簿保存法には、請求書、領収証等の会計関連の書類を電子データで保存する場合の規制があり、近年頻繁に内容が見直されていますので、注意が必要です。

2 ウェブミーティング

 ウェブミーティングに関してもご相談が多いのですが、今回は紙面の都合で記載ができなかったため、次の機会に譲ります。

3 終わりに

 電子契約は便利である反面、新しい方法であるがゆえのリスクも抱えています。導入にあたって不安な点などあれば、お気軽にご相談ください。

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