コラム

COLUMN

個人情報保護法の改正について

個人情報保護法・GDPR

2021.08.04

はじめに

令和2年6月、「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)が成立・公布されました。改正法の施行は一部を除き、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日とされており、今後、政令や規則、ガイドライン等が整備され、改正法の内容や想定される事例等がより具体化されていくと思われますが、以下では、改正法について、重要な点を中心に簡単に紹介します。

1 「個人関連情報」に対する規制

インターネットの閲覧履歴、位置情報、cookie等、個人データに該当しないものを第三者に提供する場合であっても、提供先で個人データとなることが想定されるときは、個人データの第三者提供に準じる規制を課すこととされました。改正法の下では、「個人関連情報」、すなわち、「生存する個人に関する情報であって、個人情報、仮名加工情報及び匿名加工情報のいずれにも該当しないもの」(26条の2第1項)について、これを取得して個人データとして利用する提供先の企業は、本人からの同意が必要となり、提供元の企業は、提供先の企業が同意を取得していることを確認する必要があります。企業においては、社内でどのような「個人関連情報」がやり取り・利用されているのかを把握する必要が出てくると考えられます。

2 個人情報の不適正な利用の禁止

改正法では、個人情報の不適正な利用が明文で禁止されます(16条の2)。個人情報の取扱いについて、定めた利用目的の範囲内かどうかだけでなく、不適正といえないかも確認する必要が出てくると考えられます。

3 保有個人データに関する公表事項の充実

改正法では、保有個人データに関する公表事項として、個人情報取扱事業者の住所及び代表者の氏名が追加されます(27条1項1号)。また、今後、個人情報保護の保護に関する法律施行令8条が改正され、個人情報の取扱体制や講じている措置の内容、保有個人データの処理の方法等も公表事項に追加されると想定されます。企業においては、プライバシーポリシーの記載内容を見直し、変更することが必要になると考えられます。

4 利用停止・消去等の請求の拡充

今回の改正により、事業者が利用する必要がなくなった場合、22条の2第1項本文に定める情報漏えい等が発生した場合その他保有個人データの取扱いにより本人の権利又は正当な利益が害されるおそれがある場合にも、本人による利用停止等の請求が可能となりました(30条5項)。

5 「仮名加工情報」の新設

個人データの利活用に向けて、「仮名加工情報」の制度が新設されました。「仮名加工情報」は、「他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報」をいいます(2条9項。加工方法の詳細は、今後、個人情報保護委員会規則で定められることになります。)。「仮名加工情報」には、利用目的の変更を介することで当初の利用目的と「関連性」がない新たな目的で利用することができる点や、本人からの開示・利用停止等の請求の対象外であるなどのメリットがありますが、第三者提供はできない点に注意が必要です。

6 おわりに

その他にも、保有個人データの本人への開示方法の見直し(28条1項、2項)、漏えい等が発生した場合の個人情報保護委員会への報告・本人への通知(22条の2)、第三者提供記録の開示(28条5項)、オプトアウト規制の強化(23条2項)などについて、改正がなされています。

企業においては、改正法が施行されるまでの間に、その個人情報の取扱いが改正法に準拠しているか、確認と対応が求められます。

(2021年1月)

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