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コラム

COLUMN

中国会社法改正に伴う中国子会社の社内規程再確認のすすめ

国際ビジネス

2024.09.24

執筆者:弁護士 森進吾

 中国の会社法は、2023 年12 月に大幅に改正され、2024年7 月1 日から施行されています。中国に子会社を有する日本企業にとっては、子会社管理の観点から、定款その他社内規程(共同出資している場合には合弁契約も含む)を見直す重要なタイミングです。また、近時、中国では、個人情報保護法、反スパイ法、セクハラに関する法規制など、重要な法改正が続いており、これらの観点からも社内規程を併せて見直すことが考えられます。以下では、紙幅の関係上、要点に絞って解説いたします。

 会社法改正との関係では、定款その他社内規程に影響を与える主な点として、

  1. 資本金の払込期限が設立後5年以内とされたこと、
  2. 株主会及び董事会の法定職権の縮小化、
  3. 定款による株主会から董事会への権限移譲の容認、
  4. 董事会の決議要件の明確化(全董事の過半数が決議要件であると明文化された結果、例えば定款で「出席董事の過半数」を決議要件とする旨の規定は無効になる可能性があります)、
  5. 執行董事という呼称の廃止、
  6. 董事長ではない一般董事による法定代表者就任の容認、
  7. 従業員数が300名以上の会社における従業員代表者の役員(董事会又は監事会のメンバー)登用の義務化、
  8. 持分譲渡手続の簡略化、
  9. 資本準備金による欠損補填(無償減資)の容認、
  10. 定款に定めることによって出資比率に従わない減資を可能とする制度の創設、
  11. 監事の人数について、監事会を置かない場合の監事の人数は1名に限定され、また、規模が小さい会社では監事1名の設置も不要になったこと

などが挙げられます。

 これらの改正は、特に日本企業が中国企業と共同で出資して設立した合弁企業の企業運営に与える影響が大きいため、合弁企業の形式で中国に子会社を有していたり、中国企業にマイナー出資したりしている日本企業は、定款や合弁契約を見直す必要性が高くなっています。

 また、2020 年1月に施行された外商投資法との関係では、会社法に合わせた機関変更や定款変更の対応期限が2024年12 月末に迫っています。外商投資法以前の法制度では、株主会を設置せず、董事会が最高権力機関となっていた企業形態も存在していたため、この点も踏まえた検討・対応が必要です。

 そのほか、中国の個人情報保護法との関係では、近時の改正によって規制は緩和されたものの、中国子会社の従業員に関する個人情報を日本親会社が取得する場合(いわゆる個人情報の越境移転)には、各従業員からの個別の同意を取得しておくことが無難であるため、個人情報の越境移転に関する同意書を取得しておくことなどが考えられます。

 日本のメディアなどで時折取り上げられる反スパイ法との関係では、中国の通信、情報、交通、エネルギー、金融、航空、医療、宇宙、軍事などの分野に関連する情報を収集する場合には、社内における情報の取扱いや、日本側への情報提供に関するルールを明確化しておくことが重要です。

 セクハラに関する法規制との関係では、中国においても、女性従業員の雇用上の保護が社会的に注目されており、2021 年1 月に施行された民法典はセクハラの防止・抑制を雇用主の義務と定めているため、防止策・相談体制・調査と処分に関する社内規程を定める必要性が高まっています。

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