新型コロナからの経済回復策としての付加価値税の減税措置について

付加価値税が2022年2月1日から、10%から8%に引き下げられました。 各企業は、新しい税率の適用が不明確として困難に直面しています。 社会経済の回復と発展のプログラムを支援する金融政策に関する国会の議決第43/2022/QH15号を展開するため、1月28日付の政令第 15/2022/ND-CP(以下、「政令15号」という。)が、免税・減税政策をより明確に規定しました。政令15号の主要な内容は、2022年に付加価値税率を2%引き下げた点です。この減税は、標準税率10%が課されている商品やサービスに適用され、2022年2月1日から、2022年12月31日まで有効となります。   付加価値税(以下、「VAT」という。)とは、事業者が事業の過程で創出する付加価値に課される税金であり、日本の消費税と概ね同様の概念です。事業者は、課税対象となる商品及びサービスの販売時に顧客からVATを徴収し、購入時にVATを支払う必要があります。 ただし、政府はすべての商品及びサービスに対しVATを8%に一律に削減するのではなく、電気通信、情報技術、金融・銀行、証券、保険、不動産事業、化学・化学製品の生産事業、物品税が対象する商品・サービス等の商品・サービスには適用しないものとしました。政令15号の3つの付録にある除外リストによって、それらが明記されています。そのため、減税対象とならない製品・サービスは、10%の税率を維持する必要があります。 政令15号が有効となった約半月後、企業の担当者や税務・会計専門家へのインタビューによると、多くの企業がこの新しい税率を適用するのに困難に直面しているとのことです。 まず、多くの企業は、自社の事業項目がVAT減税の除外リストに含まれているかどうかを明確に把握することが困難です。例えば、政令15号の減税除外リストには、サービス業なら、事業コード、商品なら、輸入段階に必要となるHSコードが記載されています。しかし、各企業は、自社の原料、製品のHSコード又は事業コードを検索することが難しい又はまだ慣れておらず、自社の取り扱う物がどれにあたるか不明確であると主張しています。 次に、製造企業の投入材料と産出製品にVAT税率を適用することに関して、誤解を招きやすいいくつかのケースがあります。政令15号によると、減税は輸入、生産、加工、販売の各段階で一律に適用されると規定されます。その規定から解釈すると、各類の原料の中で、VAT減税が適用されない原料があるものの、生産された製品がVAT減税除外リストに含まれていないなら、その製品は、VAT減税対象となるか解釈が分かれているのです。 例えば、印刷、コピーの業者で、インクは減税の対象ではないですが、用紙は、8%に減税されるなら、印刷完成品は、減税されるかということが問題になってます。 又は、ビール、ワイン等、製品として販売される場合は、10%の税率が維持されますが、飲食店で料理と一緒に提供される場合は、飲食店がどのようにVATインボイスを発行すればいいのか明らかでありません。 それに加えて、政令15の4条によれば、VAT減税が適用される製品・サービスに別途のインボイスを発行する必要があります。別途インボイスを発行しなければ、VAT減税されないとなっています。したがって、2つの製品しか販売しない場合であっても、2つのインボイスが必要となる可能性があるような困難もあります。例えば、政令15号により、ワインは減税対象外の製品ですから、コンビニ等で、顧客にお菓子とワインそれぞれ1つを売るときに、以前は一つのインボイスのみ作成すれば良いですが、政令15号の有効日から、お菓子1個とワイン1本の2つのインボイスに分けて、発行する必要があるかという疑問も呈されています。その場合、会計担当者の作業負担も重くなることが予想されます。 税務当局は、この半月の困難を解決するため、政令15号を案内する通達を発行する予定ですが、案内通達を待っている間、減税条件や減税の対象となる製品を確定することが難しい場合、誤った適用を避けるため、企業は、管理税務当局又は会計・税務専門家に確認しながら実務を運用することが適当といえます。   盛 一也 Truong Vu Giang