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ベトナムの民事裁判制度について教えてください。
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ベトナムにおける民事裁判手続については民事訴訟法(92/2015/QH13)に定めがあり、裁判制度としては二審制が採用されています(法17条1項)。ただし、例外的に監督審、再審手続が規定されており(同条2項)、その意味では三審制にも近い構造になっています。
民事裁判手続は、訴えの提起からはじまり、裁判所は訴状を受理した場合は、3営業日内に担当となる裁判官1名を指名し(法191条2項)、裁判官の指名が行われると、指名の日から5営業日内に訴状審査が行われます(191条3項)。訴状審査を経たのちは、訴状の補正や補足の請求、通常裁判手続のための事件受理、管轄移送、管轄不存在を理由とする訴状返却などが行われます(同条同項a)ないしd))。
事件受理となった場合は、裁判官は、事件受理日から3営業日内に事件受理の通知を原告提出の訴状や証拠と併せて被告へ発することとなります(196条1項及び2項)。事件受理通知を受領した被告は、通知受領日から15日間に答弁書を裁判所に提出しなければなりません(199条)。ベトナムの民事裁判においては、日本の民事訴訟手続と異なり、原則として裁判所による和解勧試が必要的なものとして定められています(205条)。ただし、和解はあくまで当事者による合意を基にするため、例えば当事者の一方が和解の意思がないとして和解を拒む場合、裁判所は和解ができない事件として民事訴訟手続を進めることとなります(法207条4項)。
訴訟審理を経た後、判決が下されますが、控訴期限は判決言渡日から15日間とされています(法273条1項)。