ベトナム進出情報Q&A

ベトナムの進出の際のキーポイントや注意すべき点などをQ&A形式で
お伝えします。

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ベトナムの特許権について教えてください。 ベトナムの特許権について教えてください。

ベトナムの特許権について教えてください。

知的財産法(特許、意匠、商標等)
ベトナムの特許権について教えてください。 ベトナムの特許権について教えてください。

特許権は、ベトナム知的財産法(36/2009/QH12)に規定される権利であり、自然法則を利用して特定の課題を解決するための、製品又は方法の形態による技術的解決のうち、新規性、進歩性、産業利用可能性を有している場合、登録申請手続を経ることで付与される権利です(法4条12項、58条1項)。特許として保護されない発明として、発見、科学的理論、数学的方法、事業遂行を行うための計画、企画、コンピュータープログラム、審美的特徴のみの解決、動植物品種、人を含む動物のための疾病予防や治療法などが挙げられている点に注意が必要です(法59条各項)。

ベトナム知的財産法においても職務発明があり、雇用契約や委託契約の形態により、使用者が発明行為を行った者へ資金及び物的設備を提供し、当該雇用等の職務範囲内で生じた発明については、当該使用者が特許登録を受ける権利を取得します(法86条1項(b))。ただし、職務発明における対価について、知的財産法は、特許発明から生じる利益の10%~15%を請求することを認めているため(法135条2項)、自社内で特許発明が生じる場合には、就業規則又は個別の職務発明に関する契約において、対価請求について計算方法を含めた詳細な規定を定めることが必要です。なお、職務発明が成立する場合であっても、発明者名誉権に相当する人格権は、当該発明行為を行った者に帰属し、発明特許証などにおいて氏名を表示される権利として保護されるため注意が必要です(法122条1項及び2項)。

特許申請においては、形式審査が出願後1か月以内に行われ(法119条1項)、補正等がなければ、実体審査請求を行います。実体審査請求は、特許出願日から42か月以内に請求を行うことができ(法113条)、出願から18か月以内に審査を終えることとされています(法119条2項)。また、特許出願は公開請求が行われない場合であっても、出願から19か月をもって公開されます(法110条1項)。もっとも、これは法令上のものであり、実際は特許出願から特許登録まで3年程度を要する場合が多いようです。

特許登録後における特許の実施としては、保護された製品の製造、保護された方法の適用、保護された製品又は保護された方法により得た製品の使用及びその流通、広告、申出、保管に加え、当該製品を輸入することなどが規定されています(法124条1項)。これら実施権の保護として、特許権者には差止請求や損害賠償請求、行政機関への救済申し立てなどが認められていますが(法125条1項、法198条)、実際は行政機関による取締りを要請し、民事裁判を提起する例は少ないといえます。

特許権の保護期間は、登録日から保護が開始し、出願日から20年まで保護されます(法93条2項)。保護期間の延長や更新の手続きはなく、期間満了により特許権の保護は消滅します。

特許権の譲渡契約やライセンス許諾契約は、書面で契約を締結する必要があり、それぞれ契約内容が法定されている上、関係省庁に登録しなければ効力を有さない点に注意が必要です(法141条2項、148条2項)。