ベトナムでは、社会保険制度はどのようになっていますか。日本人労働者も加入義務がありますか。
ベトナムの社会保険制度は、社会保険法(58/2014/QH13)3条1項に定められているように、拠出保険料に応じた労働者の疾病、妊娠出産、労働災害、職業病、定年退職、死亡などにより減少し又は失われた収入の全部又は一部を補償する制度として考えられています。また、ベトナムには2種類の社会保険制度があり、強制加入と任意加入とに分かれています(法4条)。強制加入社会保険が対象とする範囲は、疾病、妊娠出産、労働災害、職業病、退職、遺族保険挙げられており(同条1項)、任意加入社会保険では、退職、遺族保険が別途用意されています(同条2項)。
強制加入社会保険は、労働者及び使用者の加入が予定されており(法3条2項)、その保険料率は、関係諸法令をまとめると次の表のとおりです。なお、この表で示されている労働者とはベトナム人労働者であり、外国人労働者には別の保険料率が設定されています。
雇用者 | 労働者 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
社会保険 | 職業病 | 失業保険 | 健康保険 | 社会保険 | 職業病 | 失業保険 | 健康保険 | ||
遺族 | 疾病 | 遺族 | 疾病 | ||||||
14% | 3% | 0.5% | 1% | 3% | 8% | – | – | 1% | 1.5% |
21.5% | 10.5% | ||||||||
合計:32% |
外国人労働者については、政令(143/2018/NĐ-CP)2条1項により、ベトナム政府から発行された労働許可証(ワークパーミット)、実務証明書、実務許可証を保持しており、ベトナムにおいて1年以上の雇用契約又は無期限労働契約を締結している外国人労働者は、この強制加入社会保険への加入が義務付けられています。同条2項a)及びb)に一部例外も設けられており、政令(11/2016/NĐ-CP)3条1項に基づく社内異動として勤務している外国人労働者及びベトナム労働法(10/2012/QH13)187条に定める定年退職年齢に達している外国人労働者(男性60歳、女性55歳)(改正労働法169条により定年年齢が段階的に引き上げられるため、2028年までに男性の定年は62歳、女性は2035年までに60歳となります)、は加入義務がありません。社内異動者については、ベトナムに現地拠点を有している海外企業の管理者、CEO、専門家、技術者である必要があり、当該ベトナム拠点への異動が一時的である上、当該海外企業が12か月以上の期間で雇用している必要があります。外国人労働者に対する保険料率については、次のとおりです。
雇用者 | 労働者 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
社会保険 | 職業病 | 失業保険 | 健康保険 | 社会保険 | 職業病 | 失業保険 | 健康保険 | ||
遺族 | 疾病 | 遺族 | 疾病 | ||||||
– | 3% | 0.5% | – | 3% | – | – | – | – | 1.5% |
6.5% | 1.5% | ||||||||
合計:8% |
任意加入社会保険は、上記のとおり退職、遺族保険に備えた社会保険であり、加入者は、自己の状況に応じて納付金額や納付方法を選択することができます(社会保険法3条3項)。
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