ベトナム進出情報Q&A

ベトナムの進出の際のキーポイントや注意すべき点などをQ&A形式で
お伝えします。

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ベトナムの消費者契約について特別な定めがありますか。 ベトナムの消費者契約について特別な定めがありますか。

ベトナムの消費者契約について特別な定めがありますか。

契約管理
ベトナムの消費者契約について特別な定めがありますか。 ベトナムの消費者契約について特別な定めがありますか。

消費者保護を目的とする各種保護規定が消費者契約法上設けられています。

消費者契約概要

消費者契約については、消費者権利保護法(59/2010/QH12)の施行詳細を定める政令第99/2011/NĐ-CP号に定められています。この法令は、主にベトナム領土内における法人や継続的に商業活動を行う個人(以下、これらを総称して「事業者」といいます。)から、消費者が、消費、生活目的で商品やサービスを購入、利用する場合に適用されます。事業者と消費者間の契約は原則的には一般民事法令の規定に従って規律されるものですが(法14条1項)、消費者権利保護法は、消費者を保護する特別な規定を置くことで、消費者の権利を保護しています。

特定の取引における加重要件

政府首相が公布した主要商品・サービスリストに記載される商品・サービスを販売・提供する事業者は、関係管轄国家機関に対して、事前に標準様式契約や取引一般条件(商品・サービスを販売・提供する事業者が公開する消費者に適用する販売・サービス提供の規定・規則)として定めた規則等の登録を申請しなければならなりません(消費者権利保護法19条1項)。

このような手続が別途必要となる商品・サービスリストは下図のとおりです。なお、この商品・サービスリストは政府首相による決定(02/2012/QD-TTg)がベースでしたが、現在では、政府首相による決定(38/2018/QĐ-TTg及び25/2019/QĐ-TTg)により修正が加えられています。リストに該当する場合、受理機関は、申請から20営業日内に、形式面を含め契約書の内容及び条件等を審査し、法令適合性に基づき許認可を行います。

消費者との契約方式に関する修正

契約方式について消費者権利保護法は、消費者契約を書面で締結しなければならないという修正と、契約書に用いる言語はベトナム語でなければならないという2つの点を修正しています。書面で締結した場合、契約の言語は明確かつ分かりやすく表示される必要があります(消費者権利保護法14条2項)。もっとも、書面については、一部電子手段により契約を締結することができ、また、ベトナム語についても、当事者が合意した場合や法令が規定した場合には、他の言語によることができます(法14条2項)。

標準様式契約書においては、契約書のフォントは12ポイント以上で、用紙及び印字の色は対照でなければなりません(政令7条)。

消費者との契約過程に関する修正

標準様式契約を締結する前段階では、事業者は、消費者が契約書を理解する適切な環境を設けなければならず、例えば契約前に熟慮期間を設ける方法などが考えられます(法17条1項)。また、事業者が消費者との契約で取引一般条件として適用される規則等がある場合は、消費者が契約関係に入る前にこれを公開する必要があります(法18条1項)。また、このような取引一般条件には有効期間の明記や取引場所の見やすいところに公示することが求められています(法18条2項)。

また、標準様式契約締結後においては、消費者の保管する契約書が紛失・破損した場合、事業者は消費者に対し当該契約書のコピーを提供する必要があります(法第17条2項)。

消費者と締結した契約書の条項、取引一般条件の無効

消費者権利保護法は契約条項の内容についても定めを置いており、法16条により、次のような場合には、消費者と締結した契約書の条項、取引一般条件が無効となるります。いずれも消費者にとって不利な条項を含む場合であり、これら項目に関連する条項を契約書中に設けようとする場合には、細心の注意が必要となります。なお条項の解釈において当事者間で異なる解釈が成り立つ場合、消費者の解釈が優先されるため(法15条)、契約条項のドラフティングにおいては、現地語において一義的に明確な表現を心掛ける必要があるでしょう。

a) 法律の規定に従って消費者に対して商品・サービスを販売・提供する事業者の責任が排除される。

b) 消費者の提訴・起訴権が制限、排除される。

c) 消費者が、契約書に詳細な記述がない商品・サービスを購入・利用した場合、商品・サービスを販売・提供する事業者は、事前に承認した契約書の条件、または商品・サービスの販売・提供における規則・規定を一方的に変更させられる。

d) 商品・サービスを販売・提供する事業者が一方的に義務を果たさない消費者を確定した場合。

đ) 商品・サービスを販売・提供する事業者によって、商品納品・サービス提供の時点で価格が設定または変更された場合。

e) 契約書の内容の解釈が各側によって違う場合、契約書の内容を商品・サービスを販売・提供する事業者だけによって解釈される。

g) 商品・サービスを販売・提供する事業者が第三者を通して商品・サービスを販売・提供する場合、商品・サービスを販売・提供する事業者の責任が規定されていない。

h) 商品・サービスを販売・提供する事業者が自分の義務を果たさないのに対して、消費者は自分の義務を果たさなければならない。

i) 消費者の承認がなくても商品・サービスを販売・提供する事業者の権利・義務が第三者へ譲渡される。

【標準様式契約が必要となる物品及びサービス分野】

No. 物品及びサービス
1 住居用電力供給
2 住居用水道供給
3 テレビ視聴
4 固定電話サービス
5 携帯電話サービス(電話料後払い)携帯電話サービス(プリペイド方式)
6 インターネットサービス
7 航空旅客
8 鉄道旅客
9 アパート売買、アパート管理者による日常生活サービス