ベトナム進出情報Q&A

ベトナムの進出の際のキーポイントや注意すべき点などをQ&A形式で
お伝えします。

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ベトナムの株式会社について教えてください。 ベトナムの株式会社について教えてください。

ベトナムの株式会社について教えてください。

会社の種類と内容
ベトナムの株式会社について教えてください。 ベトナムの株式会社について教えてください。

ベトナムにおける株式会社について定めている法令は、主に企業法(68/2014/QH13)と証券法(70/2006/QH11)になります。証券法が適用されるのは、対象となる株式会社が公開会社に該当する場合であり、具体的には次のような項目に該当する株式会社となります。

a) 株券公募を行った会社

b) 証券取引所又は証券取引センターに上場された株券を有する会社

c) 専業証券投資家を含まない100名以上の投資家に株券を保有されており100億ベトナムドン以上の払込済定款資本を有する会社

これらに該当しない株式会社(非公開会社)には証券法の適用はなく、企業法を中心とする法令が適用されます(証券法10a条1項)。日本のように株式譲渡制限の有無で公開/非公開を区別していない点に注意が必要です。

企業法における株式会社は、株主が有限責任を負う、割合的な単位をとる株式を発行する企業(企業法110条1項)という点で、日本国内における株式会社と同様といえますが、株主として最低3人を要するため(企業法11条1項b))、1人株主の会社は存在しません。また、株式会社における機関構成は法令上次の2種類が定められています。

a) 株主総会、取締役会、監査役会及び社長又は総社長

b) 株主総会、取締役会及び社長又は総社長

両者の違いは監査役会の有無にありますが、a)の場合は株主数が10人以下であり、各株主の株式保有率が50%に満たない場合には必須の機関ではなく、b)の場合は監査役会を常に設置する必要はないものの、取締役の20%以上が独立取締役でなければならず、監査については取締役会に直属する内部監査委員会を通じて行うとともに、各独立取締役に監査機能を果たすことが求められています(企業法134条1項b))。

株主の権利は、株式の保有率及び保有期間により異なり、議決権や配当受領、株式譲渡等は全ての株主に認められていますが(企業法114条1項)、6か月以上継続して1%以上の株式を保有する株主には、企業法161条1項により、取締役又は社長等に対する責任追及が、6か月以上継続して10%以上の株式を保有する株主には取締役会や監査役会への人事推薦権(企業法114条2項a))、一定の場合における株主総会招集権(同条同項b))、株主総会決議取消権(147条)などが認められています。その他、1年以上継続して株式を保有する株主には、財務関係報告書に関する報告書及び資料を検討し(企業法170条4項)、又は定款若しくは法令に違反する取締役会決議の実施中止を請求することが認められています(企業法149条4項)。

取締役会は、広範な株式会社経営に関する事項について決定する権限を有する機関であり(企業法149条1項及び2項)、3人から11人の取締役で構成されます(企業法150条1項)。取締役会は、取締役会の会長、社長の選任や解任権を有しており、取締役会の会長は、主に取締役会の議事進行に関する権利義務を有します(企業法152条)。

株式会社における社長は、株式会社の日常的な経営業務執行機関として位置づけられています(企業法157条2項)。

監査機能を持つ監査役会は3人から5人で構成され(企業法163条1項)、多数決により監査役会の長を選任します(163条2項)。なお、監査役会の構成員は、過半数がベトナムに常駐しているものでなければならず、監査役会の長は少なくとも会計士又は会計監査官といった専門職であることが必要です(同条同項)。

以上の他に、法定代表者(企業法13条1項)が必要ですが、定款において別段の定めがない限り、取締役会の長が法定代表者となります。法定代表者はベトナムにおける常駐が必要であり、ベトナム国内を一時的に離れる場合には、その権限を書面にて授権しなければなりません(13条3項)。