ベトナム進出情報Q&A

ベトナムの進出の際のキーポイントや注意すべき点などをQ&A形式で
お伝えします。

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ベトナムの著作権について教えてください。 ベトナムの著作権について教えてください。

ベトナムの著作権について教えてください。

知的財産法(特許、意匠、商標等)
ベトナムの著作権について教えてください。 ベトナムの著作権について教えてください。

ベトナムの著作権は、知的財産法(36/2009/QH12)により保護されており、組織又は個人が有する著作物に対する権利と定義されています(法4条2項)。また著作物とは、表現態様、形態を問わない文学的、美術的及び科学的分野において創出された制作物と定義されています(法4条7項)。ベトナム著作権に関する特徴としては、明文で応用美術が著作物に含まれる旨規定されている点が挙げられます(法14条1項(g))。なお、著作権の発生については、ベトナムも無方式主義を採用しているため、創作行為と同時に権利が発生します。

日本法とは異なり、ベトナム法では著作物から著作権が発生し、著作権概念の中に、日本でいう著作権と著作者人格権が含まれるものとして規定されています(法18条)。著作者人格権を構成するものとして、著作物命名、実名等表示、公表、同一性保持権が定められ(法19条各項)、財産権としての著作権を構成するものとして、二次的著作物の創作、公衆への実演、複製、原本及び写しの頒布、有線又は無線による電子情報ネットワーク又は技術的手段による公衆伝達、映画又はコンピュータプログラムの原本又は写しの貸与権が規定されています(法20条1項)。

著作者の認定については、日本国内と同様に映画の著作物及び職務著作については著作者の修正に関する規定が置かれていますが(法21条及び39条)、著作者人格権について、上記著作者人格権のうち、公表権を除く人格権は実際に創作行為を行った者に残存する点に注意が必要です。そのため、例えば職務著作が生じるような場合には、あらかじめ職務著作に関する契約書又は就業規則を作成し、少なくとも著作者人格権の不行使に関する条項を整備しておく必要があります。

著作権の保護期間は公表権を除く人格権が無期限として定められており(法27条1項)、公表権及び財産権としての著作権については区分に応じた保護期間が与えられています。すなわち、映画、写真、応用美術、匿名の著作物については最初の公表から75年の保護期間が与えられ、また、映画、写真、応用美術の著作物が固定から25年内に公表されない場合は、固定時から100年の保護期間が認められます(法27条2項(a))。その他の著作物については、著作者の死亡の年から50年とされています(同項(b))。なお、保護期間の終了は、終了年の12月31日24時とされています(同項(c))。

著作権侵害行為については、法28条に16の侵害行為が規定されており、その中には複製行為や、公表、流布行為、貸与行為、著作物保護のための技術的方法を故意に取り除き又は無効化させることなどが規定されています。著作権侵害については、知的財産権に対する保護一般と同様に、損害賠償請求、差止請求、行政への保護要請などが認められており(法198条)、一部侵害行為に対しては刑事罰も課されます(刑法(100/2015/QH13))。

著作権の利用や処分については、譲渡やライセンス契約がありますが、いずれも書面による必要があり、契約内容について法定されています(法46条1項、47条1項、48条1項)。

著作者隣接権については、実演、レコード、放送番組及び暗号化された番組を搬送する衛星信号が、著作権を害することなく定着された瞬間に発生すると定められています(法6条2項)。また、著作権と同様、法35条に10の侵害行為が定められており、実演者、レコード制作者、放送組織の許可なしに隣接権対象物を複製、修正、変更等を行ったり、無断で公表や公衆に伝達する行為は侵害行為とされています。