ベトナムでは就業規則を作らなければなりませんか。また、就業規則の記載事項にはどのようなものがありますか。
現行法では作成は必須ではありませんが、改正法においては作成が義務付けられています。また、就業規則の内容には法令上一定の事項を必ず盛り込む必要があります。
ベトナムにおける就業規則については労働法(10/2012/QH13)119条1項に定めがあり、10名以上の労働者を使用する使用者において文書により就業規則を作成/所持しなければなりません。なお、2021年1月1日より施行される改正労働法においては、就業規則の作成が常に義務付けられています(改正労働法45/2019/QH14)118条1項)。
次に就業規則内の記載事項について、法令上の最低条件として、次のような項目が必要となります(119条2項)。
a) 勤務時間と休憩時間
b) 職場における秩序
c) 職場における労働安全・労働衛生
d) 雇用者の資産、経営・技術上の秘密、知的所有権の保護
đ) 被雇用者の労働規律違反行為、労働規律処分の形式、物的賠償責任
また、法令の詳細について政令05/2015/NĐ-CP27条において、記載事項が具体的に定められています。例えば、上記a)勤務時間については、1日又は1週間の通常勤務時間、シフト制においては開始時間及び終了時間、残業、特別な状況下における残業などといった項目が挙げられます。
就業規則の作成について、使用者は、基礎労働組合など労働団体の代表組織の意見を聴取しなければなりません(119条3項)。例えば、基礎労働組合がない場合は直属の上位労働組合の意見を聞く必要があり、想定される意見等があれば、当該意見に応じた内容も就業規則に加える必要があります。
また、就業規則は、労働者に通知され、主要な事項については職場の必要な個所に掲示しなければなりません(119条4項)。就業規則は、省レベルの労働分野に関する国家管理機関に登録する必要があります(法120条、政令28条)。
近年では、労働紛争の発生が増加の傾向にある中、企業の就業規則の不整備や不適切な管理などによる企業の労務管理上の重要性が再認識されています。例えば、就業規則が強行法規に反する定めを置いている事例や、不必要に法令を引用し就業規則を作成したために就業規則が冗長になり、重要な規定が労働者にうまく伝わらないことなどが見受けられます。就業規則は未然に労使間の紛争を防止し、円滑な労務運営を行うための規則ですので、労働者にとっても明瞭でわかりやすい就業規則を作成することがポイントになります。
従業員に対する規律処分を行う際、就業規則を適用根拠として扱うよりも、すべての従業員が就業規則に定めるルールを理解し、違反行為が起こらないようにするのが最も重要です。従って、労働法の規定を解釈し、使用者及び労働者間のバランスをはかり、わかりやすく就業規則を作成することがポイントとなります。
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