ベトナムで外国人や外資系企業が土地や建物などの不動産に担保権を設定する際の注意点はありますか。
ベトナムでは、不動産関連の区分において、憲法等から土地の所有権は国に帰属し、建物の所有については各法人や個人が取得できる制度となっています。そのため、いわゆる抵当権設定の方法による不動産担保について、日本法と大きく異なる注意点があります。
不動産のうち、土地に関する抵当においては、土地所有権ではなく国から割当又は賃貸等をされ、取得した土地使用権が抵当権の対象となりますが、抵当権を設定することのできるものは土地法(45/2013/QH13)168条1項により土地使用権証書を有する場合に抵当権の設定が可能となります。また、抵当権は契約によって設定する約定担保ですが、当該契約は公証等が必要とされている上(法167条3項a))、登記しなければ効力も生じません(政令(163/2006/ND-CP)12条1項、政令(102/2017/ND-CP)4条1項)。そして、最も注意すべき点は、土地使用権に抵当権を設定する場合、抵当権者は原則として金融機関とする点で、抵当権者につき制限のない日本法と大きく異なっています(法174条2項、175条1項)。例外として、個人や家族世帯が土地使用権者である場合には金融機関以外の経済組織に抵当権を設定することができますが、この場合も外国人や外資系企業がこれに該当することはほとんどないと思われます(法179条1項)。
また、建物に対する抵当権については住宅法(65/2014/QH13)に定めが置かれており、例えば、住宅の所有者が法人の場合は、ベトナムで活動する与信組織のために抵当権を設定することができ、個人が所有者である場合は、与信組織に加え、経済組織又は個人のために抵当権を設定することができるとされています。
ベトナムの不動産法制度と不動産取引
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