■2024年10月4日
欧州司法裁判所(CJEU)は、GDPRの第6条第1項(f) の「正当な利益」の解釈に関する重要な判決を下しました。
オランダ王立テニス連盟(KNLTB)が、スポンサー会社に対して、KNLTBの会員の個人データを開示し、スポンサー会社から報酬を得たという事案において、オランダデータ保護局はKNLTBに対して52万5000€の罰金を科す決定を下しました。
KNLTBは、同決定に対し、スポンサー会社がKNLTBの会員に対して、スペシャルオファーを提供するためのチラシをポスティングし、または電話キャンペーン等をする商業的利益も、GDPRの第6条第1項(f)が定める「正当な利益」に含まれると争ったところ、CJEU は、3つの要件、すなわち①管理者又は第三者による正当な利益の追求であること、②追及される正当な利益の目的のために個人データを処理する必要性があること、③データ保護の対象となる者の利益または基本的権利と自由が、管理者又は第三者の利益に優先しないこと場合に限り、管理者の商業的利益も正当な利益に含まれうることを判示しました。
本判決は、個別具体的な事例判断をしたものではありませんが、商業的利益も「正当な利益」となりうる点、及びその基準を示した点で実務上影響のある判決と考えられます。

https://curia.europa.eu/juris/document/document.jsf?text=&docid=290688&pageIndex=0&doclang=EN&mode=req&dir=&occ=first&part=1&cid=4086618