執筆者:弁護士 池辺健太
賃貸住宅管理業への規制がスタートします
2021年6月より、賃貸住宅管理業(不動産オーナーから受託して行う、賃貸住宅の維持保全、家賃受領等の管理業務)に対し、新たに規制が及ぶところとなります。サブリース規制を定めるものと同じ法律である、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」に基づく規制ですが、賃貸住宅管理業にかかる部分については、サブリース規制より遅れて2021年6月に施行となるものです。
この新たな規制について、概要と注意点をまとめてご解説します。
賃貸住宅管理業の登録制度について
賃貸住宅管理業は、管理住宅が200戸を超える事業者については、登録制となります(また、管理戸数が200戸を超えない賃貸住宅管理業者であっても、社会的信用力を確保するにあたって、登録を受けることが国交省により推奨されています)。
この登録申請に際しては、業務管理者の配置状況を書類により明らかにする必要があります。
「業務管理者」とは、従業員が行う管理業務等の指導・監督を行うために必要な知識及び能力等の一定の要件を備える者、とされています。具体的には、講習を受けた賃貸不動産経営管理士、登録証明事業による試験合格者の他、指定講習を受けた宅建士等がこれにあたります(2年以上の実務経験も必要)。
不動産事業者にとって、最も馴染みがある資格者は宅建士と思われますので、現時点で登録が必要な事業者は、宅建士に対し、指定講習の受講及び業務管理者への就任打診を検討いただく必要があります。
重要事項説明及び契約時交付書面
管理委託契約の締結時に、重要事項説明が必要となります。重要事項説明書の雛型(PDF及びWord版)は、国交省ウェブサイトに掲載されていますので、こちらを参考にすることが可能です。(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk3_000001_00004.html)
なお、重要事項の説明者に資格が必要、ということはありませんが、国交省は、業務管理者又は一定の実務経験を有する者など専門的な知識及び経験を有する者が行うことを推奨しています。また、双方向でやり取りができる等の一定の要件のもと、オンラインでの重要事項説明を実施することも可能です。
この重要事項説明を外部委託することは禁止されており、賃貸住宅管理業者が自ら行わなければなりません。
また、重要事項説明書に加えて、契約締結時に一定の事項を記載した書面の交付が必要です。この契約締結時交付書面は、契約書と兼ねることが可能ですので、事実上の対応事項としては、管理委託契約書に、契約時交付書面に記載すべき事項が漏れなく書かれているか、確認及び修正をしなければならない、ということになります。
セミナーの動画アーカイブについて
明倫国際法律事務所の動画サイト「MEILINチャンネル」(https://www.meilin-law.jp/meilin-channel/video/index.php)から、2021年5月に当事務所が実施した、賃貸住宅管理業法セミナーの動画アーカイブをご覧いただけます。
すでに顧問先企業様に対しては、動画サイトの閲覧IDをご案内しておりますので、そちらも参考としていただければ幸いです。よろしくお願い致します。
(2021年7月執筆)
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