コラム

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交通事故に遭ったら、証拠の確保を!

一般企業法務等

2021.06.22

執筆:宇加治恭子

どんな事件を解決するにも、裏付となる資料の存在やその内容が大きく影響します。

しかし、交通事故は予期せずに起きるため、当事者になってしまうと、どの資料が必要か、落ち着いて考える余裕はもてません。本稿では、交通事故に遭ったときに確保しておくと役立つ資料を紹介していきます。

1 交通事故証明書(事故証明)

交通事故事件では最も頻繁に使う資料です。事故の発生日時、発生場所、当事者( 氏名・住所・生年月日)、事故車両のナンバー、自賠責保険の証明番号、事故類型、人身事故・物件事故の区分等が記載されます。交通事故証明書の発行には、警察に交通事故の届け出をすることが必要です。

警察署や自動車安全運転センターに申請書が備え置いてありますが、ご加入の任意保険会社に事故対応を代行してもらう場合は、任意保険会社が交通事故証明書を取得しているため、コピーをもらってもいいでしょう。

なお、交通事故当事者ご本人であれば、インターネットでの申請も可能です(http://www.jsdc.or.jp/certificate/accident/quest10.html)。

2 診断書・診療報酬明細書

人身事故の場合、少なくとも警察用と自賠責用の2 種類の診断書が作成されます。

警察用診断書は、警察に提出する前に、コピーを取っておきましょう。

任意保険や自賠責保険を使って、医療機関で治療を受ける場合には、自賠責用の診断書と診療報酬明細書が必要になります。加害者側の任意保険会社が被害者の治療費を支払っているケースでは、任意保険会社が医療機関から自賠責用の診断書と診療報酬明細書を取り付けていますので、任意保険会社にコピーを請求するといいでしょう。

3 写真(事故現場・事故車両・受傷部・着衣等)

警察に事故の届け出を行うと、警察官が事故状況を確認したり、写真を撮ったりします。しかし、これらは警察の捜査資料であるため、後日、事故当事者が希望しても、人身事故の実況見分(現場検証)調書以外は開示されないことが多々あります。

そのため、事故に関係する写真は、当事者が自分で確保しておくことが望ましいのです。 

例えば、路面に残されたタイヤ痕等は、時間が経過すると消えてしまいますし、道路工事等により道路の形状や交通規制が変わってしまうこともありますし、現場近くの植込みが剪定されて見通し状況が変わってしまうこともあります。また、事故車両の写真は、事故の程度や衝突の方向等の推測に役立ちますが、修理や廃車により、確認できなくなります。さらに、事故による傷も、治療が進むにつれて回復しますので、大きな傷を負ったことが、後日、他者には伝わりにくくなります。

そのため、スマートフォン等を使って、ご自身でも写真を撮影して保存しておくことをお勧めします。撮影の際には、壊れたり傷がついたりした箇所のアップだけでなく、全体(事故現場・被害車両・被害者の全身)も写しておきましょう。なお、事故車両については、自動車修理工場や任意保険会社が、損傷個所の確認のために撮影していることがあります。

4 領収書・見積書・明細書

交通事故に関連して、諸々の費用を支払っても、支払の事実と必要性の裏付けとなる資料がなければ、事故による損害とは認められません。支払いをするときには、見積書・領収書(レシートで可)・明細書等を確保しておきましょう。

なお、通院のために公共交通機関(バス・電車)を使った場合は、いちいち領収書を取得する必要はありませんが、交通ICカードを使用している方は、使用履歴を出力して保管しておくと、通院日や使った金額のメモ代わりにすることもできます。

5 メモ(事故後の出来事、相手方とのやりとり)

被害者が重傷を負った場合、ご家族が入院先で付き添うことはよくありますし、付添看護の必要がある場合、付添看護費を損害に計上することもあります。いつ付添をしたのか、病院では何をしたのか等のメモがあると、付添看護の必要性を裏付けしやすくなります。また、事故の相手方とのやり取りのメモも意味を持つことがあります。

手帳やノート等、しっかり綴じられているものに記録しておくと、紛失を防止でき、時系列がわからなくなることを防げます。

6 休業損害証明書・源泉徴収票・確定申告書・所得証明書

事故のために仕事を休んで給与を減額された場合や有給休暇を使用した場合、勤務先に休業損害証明書を発行してもらい、事故前年の源泉徴収票を添付して、加害者保険会社に提出します。

また、自営業者の場合は、確定申告書や所得証明書の提出を求められることがあります。

このような資料は、保険会社へ提出する前にコピーをとっておきましょう。

(2016年7月執筆)

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