コラム

COLUMN

福岡市における外国人エンジニアビザ制度の運用開始

一般企業法務等

2024.12.27

執筆者:弁護士 辻陽加里

1 外国人エンジニアの在留資格審査期間が大幅に短縮!

 2023年11月から、福岡市に認定された企業に雇用される外国人エンジニアの在留資格審査期間が大幅に短縮される新たな制度の運用が開始されました。これは、2023年10月に創設された国家戦略特別区域外国人エンジニア就労促進事業に基づいて実施される制度です。
 日本ではIT エンジニアの人材不足が問題となっており、海外から優秀なIT エンジニアを呼び寄せて雇用するニーズが高まっていました。しかし、外国人エンジニアを呼び寄せるに際し、在留資格の審査期間が通常1~3ヶ月程度かかり、経営基盤が盤石と言えないスタートアップ企業等では更に審査が長期化するという問題がありました。
 国家戦略特別区域外国人エンジニア就労促進事業は、国家戦略特別区において、当該特別区を管轄する地方公共団体と国が協働することで、外国人エンジニアの在留資格である「技術・人文知識・国際業務」の審査の迅速化・期間の明確化を図ることが目的とされています。
 この事業を全国で初めて実施したのが福岡市です。福岡市では、外国人エンジニアの在留資格認定証明書交付申請を行う際に、福岡市が発行する「認定書」を添付すれば、審査期間がなんと1カ月程度にまで短縮されるとされています。
 2024 年1月に利用事例があり、在留資格申請から5日で在留許可が下りた事例も報道されています。(日本経済新聞2024年2月8日「福岡市エンジニアビザで初の在留資格 ベトナムIT 企業に」)

2 福岡市の制度概要

 この新制度の対象となるには、福岡市に認定された企業が雇用する外国人エンジニアの「技術・人文知識・国際業務」の在留資格になります。

⑴ 対象企業

 対象となる企業は、福岡市内に事業所があり、当該事業所において外国人エンジニアを就労させようとする非上場の法人です。
 事業内容が、内閣府が定める国家戦略特別区域外国人エンジニア就労促進事業実施要綱(以下「内閣府実施要綱」といいます。)に定められたIT 関連の一定の事業に該当する必要があります。経営状態が安定していることについて、福岡市による確認がされ、中小企業診断士に意見照会を行うなどして審査されます。
 また、福岡市では「エンジニアフレンドリーシティ福岡賛同企業」の登録も要件となっています。

⑵ 対象外国人エンジニア

 対象企業において、雇用しようとする外国人エンジニアが従事する予定である業務は、内閣府実施要綱に定めるIT 関連の一定の業務およびこれに付随する職務に該当する必要があります。

⑶ 手続

 申請書等の必要資料を福岡市新産業振興課宛にメールで提出して申請します。申請費用は無料です。
 福岡市が申請企業および外国人エンジニアが内閣府実施要綱の要件を満たすと判断した場合、福岡市は対象企業に「認定書」を交付します。認定書の交付手数料は300 円です。
 外国人エンジニアの在留資格の申請手続の際に、当該認定書を併せて提出することで、審査機関が短縮されます。

  • 東京、福岡、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、ハノイ、ダナンの世界8拠点から、各分野の専門の弁護士や弁理士が、企業法務や投資に役立つ情報をお届けしています。
  • 本原稿は、過去に執筆した時点での法律や判例に基づいておりますので、その後法令や判例が変更されたものがあります。記事内容の現時点での法的正確性は保証されておりませんのでご注意ください。

お問い合わせ・法律相談の
ご予約はこちら

お問い合わせ・ご相談フォーム矢印

お電話のお問い合わせも受け付けております。

一覧に戻る

ページの先頭へ戻る