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コラム

COLUMN

社会に求められる取締役会とは?

コンプライアンス・内部統制

2023.07.20

執筆者:弁護士 早崎裕子

 会社法の改正により、上場会社では2021 年3 月から社外取締役の設置が義務化され、同年6 月に、金融庁は上場企業の企業統治において参照すべき原則・指針となる「コーポレートガバナンス・コード」(以下「CG コード」といいます。)を改訂しました。

 CG コードは、企業価値の向上のために、取締役会等に対し、

  • 株主・従業員・顧客・取引先・債権者・地域社会等のステークホルダーとの協同に努め、ステークホルダーの権利・立場や健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に向けてリーダーシップを発揮すること
  • 会社の情報(とりわけ非財務情報)が正確で利用者にとって分かりやすく、情報として有用性の高いものとなるようにすべきこと
  • 企業戦略等の大きな方向性を示し、経営陣の適切なリスクテイクを支える環境整備を行い、独立した客観的な立場から実効性の高い監督を行うこと
  • 株主総会の場以外における株主との間で建設的な対話を通じて、その関心・懸念に正当な関心を払うとともに、自らの経営方針を株主に分かりやすい形で明確に説明しその理解を得る努力を行い、株主を含むステークホルダーの立場に関するバランスのとれた理解とそうした理解を踏まえた適切な対応に努めること

を求め、その具体的方策として、

  • 社内における女性の活躍促進を含む多様性の確保を推進すること
  • 一定の知見を有する独立社外取締役が、助言、経営の監督、会社と経営陣・支配株主等との間の利益相反の監督を行うほか、ステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること
  • プライム市場上場企業では、独立社外取締役を3分の1以上選任すること

が必要としました。

 これを受けて、近年、上場企業では、弁護士、他企業の役員経験者、大学教授、公認会計士、税理士、元キャリア官僚等の出身者を中心に女性の社外取締役が急増しました。
 もっとも、女性の社外取締役については、わが国ではそもそも女性の管理職・役員登用が少なく、必ずしも人材豊富とは言えないとして、その効果を疑問視する声もあり、女性の取締役の比率は、上場企業でも2022 年7 月末時点で全取締役の9.1 パーセント程度にとどまっています。

 ですが、私は、最近、業種を問わず多くの顧問先から、「女性はよく働き、要領がよい。」、「面倒な仕事も根気強く取り組む。」、「周囲と衝突することなく、上手に対応する。」という声をお聞きします。管理職や役員という場面に限らず、女性は既に様々な現場でその能力を発揮しているのです。

 元々、女性は家庭や地域社会で主導的な役割を果たしており、仕事のほか、家事、育児、介護、地域活動等のマルチタスクをこなしてきたという実績があります。このため、多くの女性は自然と多様な価値観や柔軟性を身につけていますし、おしゃべり(コミュニケーション)が得意です。

 つまり、女性はネームバリューに関わらず、元々仕事に必要とされる高いスキルを備えているのであって、CGコードが女性の積極的な登用を求めているのは、「男女平等」という形式的な理念の実現を図るためではなく、女性の実績を踏まえた上での現実的な要請であるといえます。
 そして、この要請は、上場企業以外の全ての企業に当てはまるものです。

 この点、当事務所は、バラエティに富んだユニークな女性弁護士が数多く在籍していますので、女性の社外取締役について関心をお持ちの企業のみなさまは、ぜひ、お声をおかけください。

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