コラム

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在留資格「特定技能」

人事労務

2022.11.02

執筆者:弁護士 鈴木 萌

 皆様は在留資格をご存知でしょうか?
 在留資格とは、文字通り、外国人が日本に在留するための資格のことで、外国人が日本に在留するときは、入管法上の在留資格のいずれかが必要になります。

  日本には現在29種類の在留資格が存在しますが、この在留資格のうち、比較的最近作られたのが「特定技能」です。
 「特定技能」は、2018 年12月の臨時国会において、入管法等の改正が可決・成立したことにより新設され、2019年4月1日から、人手不足が深刻な産業分野において「特定技能」での新たな外国人材の受入れが可能となりました。
 特定技能の在留資格には、「1 号」と「2 号」の2 種類があり、「特定技能1号」は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人、「特定技能2号」は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けです。
 2 号は、1 号よりも技能水準の高い外国人を想定しており、在留期間、家族帯同の可否、受入機関又は登録支援機関による支援の要否などの点で、1 号よりも優遇されています。

 この記事を執筆している時点では、「特定技能1 号」による外国人の受入れが可能な分野(特定産業分野)は、14分野(介護、ビルクリーニング、建設、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業)存在し、「特定技能2 号」による外国人の受入れが可能な分野は、2 分野(建設、造船・船用工業)のみとなっ
ています。
 ただし、特定産業分野のうち、「産業機械製造業分野」における特定技能1号外国人数が受入れ見込数を超えたことから、特定技能1 号の受入れ分野については、間もなく、「素形材産業分野」、「産業機械製造業分野」及び「電気・電子情報関連産業分野」(現行の製造3分野)を統合し、「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」(新分野)とすることが予定されています。
 なお、特定技能は、要件を満たせば取得できますが、「技能実習2号」を良好に修了している場合で、技能実習の職種と関連している分野の特定技能を申請する場合には、特定技能1号の取得に必要な技能試験や日本語試験が免除されます。そのため、特に、技能実習からの移行を目指す場合には、特定技能1号が有力な選択肢に入ってきます。

 「特定技能2 号」については、特定技能制度の開始後も、しばらく、申請に必要な特定技能2号評価試験が実施されず、申請手続きなどについても詳細が留保されていたのですが、2022 年5 月7 日付の朝日新聞の記事において、「外国人労働者の受け入れを拡大するために創設された在留資格「特定技能」。制度スタートから3 年たった今年4 月、熟練した技能が必要な「2号」の資格を持つ外国人が全国
で初めて誕生した。」(https://www.asahi.com/articles/ASQ555F5SQ4MOHGB00F.html より引用)と紹介されているとおり、今年の4 月から運用され始めました。

 

 当事務所でも、最近、特定技能に関するご相談を多くいただいており、特に、資格取得の要件や必要な手続きが複雑なことに悩まれる方が多いようです。
 要件や手続きは複雑ですが、特定産業分野において、スキルがある又は技能実習を終えている外国人を雇用したい等の場合は、ぜひ特定技能制度を思い出していただければと思います。

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