コラム

COLUMN

商法改正

企業経営・販売・広告

2021.06.29

1 商法が変わります!

商法という法律をご存知でしょうか。商法は、商人が営業のためにする行為等(商行為)に適用される法律であり、商法の適用される行為には、民法に優先して商法が適用されますので、事業者の方にとって非常に大事な法律です。
 しかし、商法のうち、運送法制に関する部分については、100 年以上もの間ほとんど見直しがされておらず、また、航空運送については、制定当時に存在していなかったため、その規定すら存在しておりませんでした。
 そこで、現代社会の実情に合わせるため、約120 年ぶりの改正がなされました。

2 いつから?

 商法を改正する法律は、平成30 年5 月18 日(同月25 日交付)に成立しており、公布の日から1 年間以内に施行されることとされていますので、皆様が本稿をお読みになっている時から、遅くとも半年以内には施行されます。

3 主要な改正点

 皆様は、商品を顧客の方に届ける際等に運送会社を利用されることが多いと思います。その際に、現行法では、航空機を用いた運送方法と、航空機を用いない運送方法とで適用される条文が異なっていたことはご存知でしたでしょうか。改正商法では、航空運送について定義を置いた上で、規制を統一するなど、皆様の取引にも影響が及ぶ改正がなされましたので、本稿では当該改正のうち、損害賠償請求に係る規定に絞ってご説明します。なお、以下では、荷物を送る人を荷送人、荷物を受け取る人を荷受人、荷物を運ぶ人を運送人として説明します。


① 損害賠償請求の期間の統一(改正法585条)
 改正法では、荷物の運送方法として航空機を用いる場合であっても、荷物が滅失等した場合の運送人に対する損害賠償請求は、引渡日(引渡予定日)から1 年以内に裁判上の請求をしなければならない旨規定されました。航空機を用いた運送方法の場合、現行法より、損害賠償請求の期間が短縮され、また、請求方法も限定されてますので、適切な損害賠償を請求するためには、速やかに損害賠償請求訴訟を提起する必要があります。


② 堪航能力担保義務の軽減(改正法739条)
 難解な言葉ですが、海上運送を行う運送人は、堪航能力担保義務、すなわち、通常の航海で生じる危険に堪える能力を備える義務があり、当該能力を欠くことによって荷物が滅失等した場合には、無過失責任を負い、当該義務違反に基づく損害賠償責任の免責特約は無効とされていました(現行法739 条)。これに対し、改正法では、堪航能力担保義務の違反に基づく損害賠償責任が過失責任とされました(改正法739 条)。荷送人及び荷受人の皆様が当該リスクに備えるためには、契約によって運送人の義務を加重する必要があります。

4 おわりに

 紛争になった際のリスクに備えることで紛争自体を防ぐことができますので、本稿をご覧いただき、契約書の見直し等を検討したいという方がいらっしゃいましたら、遠慮なくご連絡ください。

(2019年1月執筆)

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  • 本原稿は、過去に執筆した時点での法律や判例に基づいておりますので、その後法令や判例が変更されたものがあります。記事内容の現時点での法的正確性は保証されておりませんのでご注意ください。

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