コラム

COLUMN

ひこにゃん商標無償化がもたらす可能性

知的財産

2025.03.06

弁護士:吉田幸祐

 2024年10月より、彦根市の公式キャラクター「ひこにゃん」の商標使用料が正式に無償化されました。

 ひこにゃんは、2007年の「彦根城築城400年祭」を盛り上げる公式キャラクターとして2006年に誕生しました。
 愛らしい見た目とゆるキャラブームの波に乗り、全国的な人気を博しましたが、これまで商標を利用するためには彦根市の許諾と使用料が必要であり、使用には一定のハードルが存在していました。
 そのような経緯から、彦根市が2022年10月から2024年3月までの間にかけて、商標使用料無償化の実証実験を実施した結果、新規契約件数の増加や関連商品の販売拡大といったポジティブな影響が確認され、正式に商標の無償化が決定されました。

 無償化により、彦根市やひこにゃんの認知度拡大・PR効果が見込まれ、ブランド価値を高める効果も考えられます。

 他方で、無償化により、気軽に商標使用を行う個人や団体が増加することは、同時にひこにゃんのイメージを損なうような使用例が発生することも想定されますので、こうした使用を防ぐために、一定の審査や、事後的な対応措置の実施が必要となります。

 また、これまで商標使用料による収入があった場合、その減収をどのように補うのかという財政的な課題も考えられます。この点については、ひこにゃんの認知度向上と地域経済の活性化によって、結果的に税収増加などのメリットが生まれることが期待されます。

 今後、ひこにゃんの無償化がどのような成果をもたらすのか、地域経済や観光産業の動向を注視する必要がありそうです。

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